命はひとつ。単車もひとつ。





この日の目的地は小樽。

翌朝にはフェリーに乗らなくてはいけないのでこの日の夜のうちに小樽に着いておきたい。

そう思って、快適な日本海側の海岸線をひたすら南に向かって、大声で歌いながら走りました。


が、


フロントブレーキの異音がどんどん激しくなってきました。

今までに感じたことのないハンドルへの振動。

おかしい。明らかにおかしい。

何がおかしいって

このツーリングの中でマシントラブルが発生していないのが一番おかしい。

そこでね。


大学時代にいつも気晴らしにショートツーリングで来ていた
厚田村の海の見える小高い崖の駐車場に止めて、一旦整備してみようと考えました。


よく見ると、ブレーキディスクとキャリパー本体が当たって削れている痕がありました。

そこで、ツーリングの途中なのに、ブレーキキャリパーはずしてお掃除。


それでちょっと走ってみても やっぱり変わらない。

頭にきたもんで、ちょりゃは決断しました。
右側のブレーキキャリパは捨てよう と。


そしたらこんな情けない姿になりました。



はじめて見ましたよ。
ブレーキキャリパがタンクバッグの中に入っている単車を。


ま、大してスピード出すつもりも無いし、もともと安全運転なので(こら そこ 指差して否定しない!)

シングルディスクの単車もあることだし大丈夫だろうと思って走り始めました。


ただ、そのキャリパをはずした場所の足元にヘビの死骸が転がっていたのには
なんか不吉な予感を匂わせる光景でした。


走ること1km。


ハンドルに体験したこと無いような衝撃がキマシタ。

その衝撃でハンドルが左に10cmくらいブレるんです。

走行中に左側のブレーキキャリパを見たら、さすが浮動型。

衝撃と共に豪快に3センチは動きまくってます。



即座に感じました。

このまま走ったら 前輪がロックして吹っ飛んでしまう。= 死


そして決めました。

これ以上の走行を断念しよう・・・と。



ツーリングに来ているライダーにとって 自走できないことは何よりも重たい決断。

大して帰る気も無いままツーリングに来たから
このまま飛んでしまってもいいかなとも考えたけど

やっぱ だめだね。そんなことぢゃ。


ただ、停車したところの看板広告が「札幌霊園」ってあたりが
さらに不吉さをパワーアップさせてくれました。


そこで、U氏の関係でレッドバロンへ連絡してレッカーをしてもらうことに。


このタイミングは後で聞いたらナイス判断だったこともわかりました。

電話をしたのは8時ちょっと前。営業時間は8時まで。
それまでに電話が通じた事。

そして、U氏がレッドバロンで単車を買っていたので、
その友人ということでなんとかレッカーがお願いできたこと。

札幌のレッドバロンではなくて、小樽のレッドバロンに連絡をしたこと。


これらがすべて上手くかみあって私は無事小樽に着いたのです。


さ・て。

電話をしたのは良いけれど
いま ちょりゃがいる場所は 小樽から約50キロの位置。

電気もなく、家もなく あるのは「札幌霊園」の看板だけ。

雲行きも怪しく小雨が降り始める。


そんなとき。あなたならどうしますか?


ちょりゃは・・・・

この状況を楽しんぢゃえ〜〜〜!

ってことで、天下の国道(電気なし)の真ん中で横たわってみました。




ついでに逆立ちもしてやりました。



轢くなら轢いてみやがれ。この 車野郎め!

待つこと小1時間。

レッドバロン小樽からの使者が到着しました。